田園調布学園中高2021
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理科×数学生徒の視野を広げる教科横断型授業例えば、高等部1年の化学で扱う金属結晶では、結晶の構造について学びますが、その構造の一つである「六方最密構造」について深く理解することを、化学と数学の教科横断型授業でめざします。金属結晶の構造は、立方体や球などの幾何学的性質をうまく利用することで解析できますが、この授業では、さらにそこに関数の知識を導入することで、やや感覚的な理解で終わりそうな部分を厳密に検証します。高等部2年の理系クラスでは、“物体の重心”と“積分の不等式”を題材に授業を行います。同じ大きさのブロックを少しずつ右にずらして積んでいくとき、ブロックが崩れることなくどれくらいずらすことができるかというのを、生徒はペアで予想・実験・考察・応用する授業です。何も考えずに積んでいくとブロックはすぐに崩れてしまいます。ブロックの重心を考え、計算しながら積んでいくと、いくらでも積めることを体感し、ずらすことのできる長さを積分の不等式で求めます。普段学習していた“物理の理論”や“数学の計算”が、目の前のブロックで表されることで、具体的なイメージがわき、学びの意欲を高めます。高等部3年の「総合物理」では、数学と物理の視点から結び付きを意識する授業を行います。「コンデンサーの電気容量を求めよう!~微分方程式の利用〜」では、充電されたコンデンサーを放電させ、結果をI-tグラフ(I:電流/t:時間)にかき、曲線と軸に囲まれた面積からコンデンサーの電気容量を求めます。そして、より精度を上げるために数学の微分方程式を用いて計算します。これから生徒たちに求められる力とは、一つの教科で得た知識や技能が他の分野でも機能していることに自力で気づいたり、実際に使ったりすることのできる総合力です。国や専門分野の垣根を越えて、異分野の人たちと仕事をすることがますます増えていく社会において、このような力をつけていくことは重要です。物理の実験では、結果を考察・分析する際、数学の力を必要とすることがあります。また、数学が世の中の現象とどのようにつながっているかを体感することも大切です。教科横断型授業をきっかけに、生徒は物理現象に興味を持つだけでなく、そこに潜む数学に目を向け、その他の現象理解にも広い視野で考える姿勢が身についていきます。物理現象に潜む数学に目を向け、視野を広げる入 英樹副教頭・理科06

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