田園調布学園中高2022
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 数学を通して知識を得るだけでなく、世の中のさまざまな事象を論理的に整理したり、分析することができる、生涯にわたって役立つ思考力を身につけることを目標にしています。生徒が大学、あるいはその先の学びや問題解決の場面において、常に数学的素養を力として発揮できるよう、科学的に物事を考える姿勢や、多角的な視点を養います。 中等部1年・中等部2年で中学の学習内容が終了します。中等部3年から高等部2年までで高校の学習内容の大半を終え、高等部3年では演習中心の授業を行っていきます。 中等部3年・高等部1年では到達度別授業を実施しています。学年5クラスを3グレード(α・β・γ)7クラスに分けて少人数で授業を行い、定期考査ごとにクラス替えをします。それぞれの学習ペースと理解度に合わせた授業を行い、到達目標を明確にすることで、生徒の授業や自宅学習に対する意欲を高めています。 また、社会で広く求められている統計的思考力を生徒が身につけられるように、統計検定の受検を推奨しており、統計検定4級(高校1年レベル)の内容が中等部2年までに終わるカリキュラムにしています。また、3級(高校卒業レベル)の対策も授業の中で実施しており、中等部3年・高等部1年の段階で合格者が多く出ています。高等部2年では、より高いレベルの統計の学習を行います。 さらに、中等部2年・中等部3年の長期休みの課題として、学習した関数を用いて絵を描く「関数グラフアート」を実施しています。この取り組みによって、生徒たちは関数に対する理解を深め、苦手意識を払拭することができています。優秀作品は全国コンテストや国際コンテストで入賞もしています。 最近では、絵馬に自分が創作した数学の問題を描いて、図書館に奉納するという「算額」の取り組みも始まり、こちらも生徒の作品が外部コンテストで入賞を果たしています。数学■授業の紹介実施学年科 目テ ー マ授 業 内 容中1図形オイラーの多面体定理「ポリドロン」と呼ばれる立体パズルを使って、正四面体などの立体を生徒たちが組み立てます。組み立てた立体を観察することで、規則性や数学的な特徴を発見し、それを式で表現していきます。中2図形実験と計算から考えるパッキング問題1円玉を長方形の囲みの中にどれだけ入れられるかをグループごとに考察し、考えられる最大枚数を三平方の定理を使って導きます。缶や果物を箱詰めする際の、効率的な詰め方にもつながる話題です。中3図形実験で体感する確率日常生活の中で自分の感覚や他の情報に左右され正しい判断ができなくなるような確率を扱います。例えば、条件つき確率の難問「モンティホール問題」や複雑な計算が必要な「ポーカーの役の確率」など、実際にトランプを使いながら実験を行い、確率の検証をします。高2数学Ⅱ・Ⅲ漸化式のパズルへの応用パズルゲーム「ハノイの塔」を漸化式で解明することに挑戦し、結論をグループごとに発表します。また、新たにルールが追加されたときに、漸化式がどう変化するかも考えます。高3数学Ⅲ演習定積分と不等式の物理への応用同じ大きさのブロックを少しずつ右にずらして積んでいくとき、できるだけ多く積むにはどうすればよいかを、物理と数学の両面から考え、実際にブロックを積んでみます。背景には、大学入試にも頻出のある有名な計算が隠されています。第17回関数グラフアート全国コンテスト優良賞受賞作品「平等院」(中等部3年)■到達目標の例(2021年度 高等部1年到達度別クラス)クラスクラス人数到 達 目 標授業内容と方針進研模試目標偏差値α40前後・教科書の例題と章末問題がすべて解けるようになる・教科書傍用問題集の基本・標準問題に加え、演習問題がすべて解けるようになる・教科書の定理・公式の意味を理解し、証明を自力で書くことができる・大学入試問題を含む複合的・発展的な問題の解決能力を身につけ、別解の検討もできる教科書の内容にとどまらず、大学入試での出題や、高い思考力を要する問題も積極的に扱っていく。既習事項を利用して解く応用問題の演習では、なるべく誘導を与えず自力で筋道を見い出す練習を行い、アウトプット能力を高める。 62以上β35前後・教科書の例題すべてと章末問題の一部が解けるようになる・教科書傍用問題集の基本・標準問題すべてに加え、演習問題が一部解けるようになる・教科書の定理・公式の意味を理解し、証明を自力で書くことができる・大学入試問題を含む複合的な問題の解決能力を身につける教科書の内容に加えて、ややレベルの高い問題にも積極的に触れる機会を作り、基礎の理解・定着を深いものにする。既習事項を利用して解く応用問題の演習では、適切な誘導を与え、自分の知識をどうアウトプットすればよいのか考えられるようにする。 57以上γ20前後・教科書の例題がすべて解けるようになる・教科書傍用問題集の基本・標準問題がすべて解けるようになる・教科書の定理・公式の意味とその証明法を理解できる・計算過程や証明を論理的に記述することができるまずは教科書の内容理解を徹底し、基本問題の反復をしっかり行う。また、復習の習慣を身につけ、自力で計算ができることをめざす。数学に対する苦手意識を払拭し、楽しさに気づけるようにする。52以上32

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