理科×数学生徒の視野を広げる教科横断型授業数学と物理は密接につながっています。物理の実験で得られた結果を、数学を使ってより深く分析したり、逆に数学の問題の計算結果が、力学や電磁気学といった物理現象とつながっていたりします。ところが、本来は表裏一体であるはずのこの2科目が、多くの中学・高校では単純に別々の科目として扱われてしまいます。田園調布学園では、この2科目が互いに補完し合っていることを意識させられるような教科横断型授業を多く実践しています。中等部3年では、物体の落下運動をグラフで表したり、逆にグラフから物体の動きを予測するときに、理科の授業ではあまり使うことのない数学の知識を活用する授業を行います。生徒はこのとき、物理と数学の結びつきをとても強く感じます。高等部2年では、物理で学ぶ「力のつり合いの点」が、数学的にはどんな意味をもっているのかを、3Dプリンタで作った器具やシャボン液を使った実験で考察していく授業を行います。単なる力のつり合いの点に、豊かな数学の構造が隠されていることに気付くと、生徒は興奮します。高等部3年では、充電されたコンデンサーの放電の様子をグラフに表し、そこからコンデンサーの電気容量を数学の微分方程式を用いて計算するという、大学教養課程レベルの授業もあります。大学では数学と物理の内容がぐっと距離を縮めますが、その一端を生徒は知ることができます。これらの授業はどれも数学と理科の教員が同時登壇し行っており、生徒が多角的に物事を見ることができるように努めています。生徒に教科の好き嫌いがある理由の一つに、教科間の関係性が見えづらいということがあると思います。ですが、好きな教科の話題の中に、あまり好きではない教科の知識を使う場面が出てきたら、生徒はどちらの科目の必要性も感じます。そして苦手教科を面白く感じるきっかけにもなります。また、物理的な見方ができると腑に落ちやすい数学の話題もあるなど、横断的な学びは、それぞれの教科のレベルアップにもつながると考えています。これからは、好き嫌いで物事を見る目を遮断するような人ではなく、視野を広く持てる人たちが社会で求められます。分野の垣根を越えて、異分野の人たちと仕事をする社会で力を発揮するために、これからも田園調布学園は教科横断型授業にこだわり続けます。教科横断型授業で感じる知識の「横のつながり」長岡 敬佑数学科主任06
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