
高度情報社会を生き抜く
スキルを体得
これからの時代は、人工知能(AI)が様々な判断を行ったり、身近なものがインターネット経由で最適化されたりする(IoT)など、「Society5.0」とも呼ばれる新たな時代の到来が私たちの生活を大きく変えていくと予測されています。そのような変化ある時代を生き抜くためにも、中高校生の段階から日常的にデジタル端末やソフト・機器を扱い、学園生活を通して情報活用能力を養ってほしいと考えています。
デジタル端末を
日常的に活用
本校では、2014年度より校内貸出用iPadを導入して、授業や部活動においてタブレット端末を利活用した教育活動を行ってきました。
2017年度にはGoogle for educationのサービスを導入し、翌年の2018年度から生徒一人一台端末(Chromebook)の環境をスタート致しました。また、2021年度からは高等部で個人の持ち込み端末の自由化(BYOD:Bring Your Own Device)を実施しており、生徒の所有する端末も利用目的に応じて多様化しています。

デジタル端末を「学園生活をより良くするためのツール」として、授業のみならず部活動や委員会などあらゆる場面で日常使いしていることもあり、一般的な中高校生(全国平均)よりもタイピングスピードが速い傾向にあります。このタイピングに関してはICT利活用による生徒変容の一例ですが、一人一台環境5年目を迎え、様々な場面において必ずしも数値では測り知れない生徒の成長を日々感じています。
近年では、音声認識技術が向上しているため音声による文字入力も可能ではありますが、テストや資格試験に回答する(CBT方式:Computer Based Testing)・大学の講義をノートテイクする・仕事をする・プログラミングをする、といったあらゆる場面においてキーボード入力は必要不可欠であり、これからの時代においても必要なスキルとなります。

情報の授業
本校では教科「情報」を高等部1年・2年次に取り扱っており、実生活・実社会に活かせるスキル・技術を身につけられるよう、実習の機会を多く設けています。実習では単元ごとに学習した内容を取り扱い、実習を通して実際に情報技術やモノの仕組みを体験して「知る」、「理解する」、「活用する」プロセスを大切にしています。

CM動画制作
高等部2年生では「CM」を題材に、情報の表現や伝達の工夫を学習後、高等部1年次に学習した内容の発展として、毎年「学校の特徴・特色を取り上げた『CM動画制作』」を行っています。最近ではスマートフォンなどでも、ある程度の高画質な映像を撮影することができますが、授業ではあえてデジタル一眼カメラや外付けマイク・ビデオ用三脚を用いて生徒は撮影を行います。実際に、デジタル一眼カメラやビデオ三脚を利用することで、撮れた画がスマートフォン撮影によるものと異なることや、なぜYouTuberで撮影用機材にこだわっている人がいるのかなど、実際に体験したからこそわかる発見や気づきがたくさんあります。

生徒作成学校CM
生徒作成学校CM
最新の技術を校内に用意
情報科では「最新の技術に触れる」機会として、最近ではヒューマノイドロボット「NAO」を企業から貸与して頂き、実際に体験をすることで、現代のロボット技術でできる事・できない事を理解する機会や、コロナ渦で非接触が求められることにより需要が高まっている「『空中ディスプレイ』を利用したコンテンツ制作」を教育機関としては初めて取り組むなど、新しい分野のものについても積極的に取り扱っています。
その他にも、本校では3Dプリンタやドローンをはじめ、様々なICT機器を用意しています。中高6年間の学園生活を通じて、映像や音楽を制作する、プログラミングをしてアプリケーションやサイトなどのコンテンツを制作するといったプロダクトを創り出す体験から、問題解決の手段や自己を表現するツールとしてICT機器を利活用できるスキルを身につけていきます。

ヒューマノイドロボット「NAO」を利用したロボティクス実習

空中ディスプレイを利用したコンテンツ制作

VR・AR・MRの学習

3DCAD・3Dプリンタを利用したものづくり
休校中の対応

2020年2月末の政府による臨時休校要請直後より、本校では動画配信をはじめ、オンラインでの対応を行って参りました。その後、4〜5月の臨時休校期間中は、「できることをやる」から「生徒の取り組みを評価する」段階へと発展させながら、オンライン授業(課題配信授業・動画配信授業・ライブ授業など)の幅を広げていきました。中等部2年生以上の生徒はChromebookを所持しているため、授業開始予定日が遅れることなく授業をスタートすることができました。中等部1年生は、各ご家庭の協力により学校と繋がることができ、田園調布学園中等部の生徒としての生活を始めることができました(2021年度からは、中等部1年生にも入学時からChromebookを導入しました)。
6月からは、分散登校(対面授業・オンライン授業の併用)を開始し、全教室に配信用のカメラを配備できたことで、クラスを対面で授業に参加するグループと家庭から参加する(オンライン)グループに分けて、授業進度をほぼ例年と変えることなく、教育の質を確保しました。
2020年度の経験により、ミーティングツールの使用法や、動画の撮影・編集・配信の技術が向上し、全教員がオンライン授業に対応できるようになりました。ただ、オンライン授業を通じて、オンラインでもできること、対面でなければできないことについて改めて考えさせられることとなりました。登校して学ぶことの意義が問われているのだと実感しています。