探究・教科横断型授業

教科横断型授業

分野の垣根を越えた学びを通じて、一つの事象を多角的・複眼的に見る姿勢が養われます

社会の課題は複雑かつ、いろいろな分野にまたがって存在しています。生徒に教科の好き嫌いがある理由の一つに、教科間の関係性が見えづらいということがありますが、好きな教科の話題の中に、あまり好きではない教科の知識を使う場面が出てくると、生徒はどちらの科目の必要性も感じます。それが苦手教科を面白く感じるきっかけにもなります。また、物理的な見方ができると腑に落ちやすい数学の話題などもあり、横断的な学びは、それぞれの教科のレベルアップにもつながると考えています。
これからは、好き嫌いで物事を見る目を遮断するような人ではなく、視野を広く持てる人が社会で求められます。分野の垣根を越えて、異分野の人たちと仕事をする社会で力を発揮するために、これからも田園調布学園は教科横断型授業にこだわり続けます。

教科横断型授業の実践例

中等部1年 理科Ⅱ×地理

中等部1年の理科Ⅱでは、地震の起こる仕組みや地震によって引き起こされる災害について学習します。それをベースに、地理で学習したハザードマップなどを用いながら、地震によって自宅周辺などにどのようなリスクがあるかを考え、自身が行っている地震への備えや対策を振り返ります。地震大国の日本だからこそ、地震のしくみを論理的に理解することで、災害を自分事ととらえ、何をすべきか具体的に検討する場となります。

中等部2年 国語×美術

中等部2年の国語では、「君は『最後の晩餐』を知っているか」(布施英利 光村図書)という美術作品をテーマにした評論教材を授業で扱っています。この文章は作者が、レオナルド・ダ・ヴィンチの名作である『最後の晩餐』を「かっこいい」という言葉で評価しており、その根拠を絵画の技法である「遠近法」「明暗法」「解剖学」などの言葉を用いて、科学的に説明しているものです。読解をより深めることを目的として、美術の教員から本文中の用語である「美術の絵画技法」について専門的な説明を行います。さらに文章で表現されていることを実際に演じる体験を通して、より具体的なイメージとして捉えることができます。このような活動によって、評論文を正確に読解するためには、さまざまな分野の知識を持っておくことも大切であると生徒は気づくことができます。

中等部3年 音楽×数学

中等部3年の音楽の授業ではモーツァルトの「音楽のサイコロ遊び」を題材に創作の授業を行います。当時の生活文化に思いを馳せながら、サイコロの出た目にしたがってChromebookで作曲。できあがった曲を聴き比べながら、和声の働きや「偶然性の音楽」についての学習につなげます。その後、今度は数学の統計や確率の視点で考察します。できあがった曲を数式で分析し、新たな発見が生まれる授業です。

高等部2年 情報×倫理

高等部2年の情報の授業では、「情報社会の進展と情報技術」の単元のなかで、人工知能と人間との関わり方を考える授業を行っています。「AIに仕事を奪われる」「AIに意思決定を支配される」といった懸念がよく言われますが、倫理との横断を通して、人間がAIに振り回されるのではなく、それぞれの良いところを分担して、適切な関係を構築できるような視点を養います。ここでは、「自身が死後、個人データとAIやCGなどを活用して、『復活』することに賛成か」といったテーマについて、クラス内で哲学的な対話を通してじっくり考えました。生徒からは自分が生きた証を残す権利や、一方で亡くなった人を忘れる権利など、多岐にわたる意見が交わされました。

高等部2年 物理×数学×地理

高等部2年では、シャボン液を使った実験から、シャボン膜が交わるところ(フェルマー点)について、物理的に捉える(力のつり合い)考え方と数学的に捉える(等角中心・3頂点からの距離の和が最小)考え方を習得する授業を行います。さらに、フェルマー点は化学の分子構造と関わっていたり、地理で学習する「ハブ空港」などにも応用されていたりします。生徒たちはフェルマー点について学びを深めていく中で、目を輝かせ、教科を横断的に思考する見方や考え方を働かせていきます。
この授業は東京理科大学主催「2022年第1回《理科・授業の達人》大賞」の最優秀賞に選ばれました。

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