学園ブログ

「無用の用」(高等部講堂朝礼)

 「無用の用」という言葉がある。これは、一見無用に見えるものであっても、実は役に立つことがあるということを意味する。例えば、橋は人が渡ることだけを考えると数十cmの幅でよい。しかし、実際は、その何倍もの幅があり、このことは人々が安心して橋を渡ること、景色を楽しむことに役立っている。

 最近、文部科学省が国公立大学の文系学部の削減、学部・学科の組み換えを発表した。実用に役立つ学問を学生に学ばせることが目的だというが、「実用に役立つ」ということは、どのようにして判断するのだろうか。もし、目の前のことだけを見て、役立つことを判断しているのだとしたら、危機感を覚える。日本の文化の多様性がなくなってしまうのではないか。

 私たちは「無用の用」という言葉を忘れずに、幅広い教養を身につけて、今後の様々な選択をしていきたい。

(高等部3年 週番)