学園ブログ

紅白梅図屏風レプリカを鑑賞しました

中3美術では、静岡県熱海市にあるMOA美術館の学芸員さんを招いて鑑賞授業を行いました。
MOA美術館は東洋美術のコレクションを扱っている美術館で、その中でも尾形光琳の「紅白梅図屏風」は有名です。
今回は、その原寸大レプリカをお持ちいただき、学芸員さんから解説していただきました。

生徒たちが教室に入った時、赤いじゅうたんの上に畳まれた屏風があり、チャイムが鳴った後、その屏風が開かれました。
開いた瞬間は「おお~!」感動の声が上がりました。

グループごとに近くまで寄り、じっくり鑑賞しました。
生徒たちは、作品を見た印象を自由に話し合ったりメモしたりしていました。
「白梅の枝は上から下に伸びていて、紅梅の枝は下から上に伸びているね」
「川の中心の渦は大きいけれど、外側の渦は小さくなっていて、川の流れを表現しているのかな」「私は中心の部分は道に見える」
「川は手前が幅が広く、奥が幅が狭いので、遠近法が使われている」
「木の幹の緑色の斑点は何だろう。錆び?」
「この屏風絵はそれぞれ1枚で見るのだろうか、それとも2枚で一つなのだろうか・・・」
などと、たくさんの意見が出ました。

そして、生徒たちの意見から広げて、学芸員さんが解説をしてくださいました。

紅白の梅の横にそれぞれサインがあり、白梅の横には「法橋光琳」、紅梅の横には「青々光琳」。
「法橋」とは位の高い画家や僧侶に与えられる位の事で、「青々」は若者の意味があるそうです。
このことから、白梅は老梅で紅梅は若い梅ではないかという解釈があるそうです。

川の部分を顕微鏡で見たところ、「銀」が使われていることが分かり、
黒地に金の渦が描かれているように見えますが、すべて銀で描かれたものが腐食したとも考えられるそうです。

木の幹には「緑青」という錆び色の絵具が使われています。粉状の絵具を見せていただきました。
また、背景に使われている金箔も見本を見せていただき、厚さはなんと1万分の1、2ミリだそうです。

このほかにも作者尾形光琳のことや作品の描写のことなど、時間が許す限り様々なことを教えていただきました。

最後に、この作品は謎の多い作品で専門家の中でも意見が分かれるので、生徒たちの考えも否定できず、新たな真実である可能性もあるので、
興味を持ったら自分達でも調べてみてほしいと、エールをいただきました。

美術館に行くと多くの作品が並んでいますが、一つの作品にじっくり集中することで沢山のことが見えてきました。この後生徒たちは中学校最後の作品となる、屏風絵を制作します。今回学んだことをいかして、創意工夫し、素敵な作品を作ってほしいと思います。

(美術 長峰)