高等部2年一日校外学習
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高等部2年生は、5月末に九州学習体験旅行へ行き、環境、平和、国際関係について学んできました。今回の一日校外学習ではその関連の学習の一つとして「原爆の図」という絵画の連作が展示されている美術館を訪れ、学芸員さんのお話を聞いて見学したのち、事後学習を行いました。
丸木位里・俊夫妻は、「原爆の図」や「水俣の図」等を通し、平和や環境を守ることを訴え続けてこられました。
作品を鑑賞し、また、丸木美術館の学芸員岡村幸宣氏の講演を聴いて、これらの問題に対し、自分自身のとるべき道は何かを考えました。
午後の事後学習では、学習体験旅行の班ごとに集まり、自分たちが戦争の悲惨さや平和の願いを発信する立場になったら、どんな発信の仕方をするかを話し合い、発表しました。司会進行などの運営は行事委員が行いました。
(高2担任)
≪委員のコメント≫
事前に、展示されている絵を写真や映像で見る機会がありましたが、作品の前に立って感じたのは、「これはただ見るものではなく、向き合うべき作品なのだ」ということでした。写真で見たときも描かれた場面の悲惨さや衝撃は感じていたつもりでしたが、実物の前ではその何倍もの強さで感情を揺さぶられました。
特に印象に残ったのは、苦しむ人々の姿だけでなく、絵の中にある「静けさ」のようなものです。もし絶望や悲しみだけが描かれていたら、安全な場所から遠くの悲劇を見るように、過去の出来事としてどこか他人事のように感じてしまっていたかもしれません。しかし、この作品には人間の底から湧いてくるような怒りや、苦しみの中でも生きようとする静かな強さが描かれていて、「これは本当にあったことなのだ」と、自分の現実と地続きの出来事として感じることができました。
私たちは、戦争を体験した世代ではなく、また、実際に体験された方のお話を直接聞くことも難しくなっています。だからこそ、過去を忘れずに語り継ぎ、記憶し続ける責任が私たちにはあるのだと思います。
(行事委員長:S)
丸木美術館で原爆の図を鑑賞して、大きな屏風絵に描かれている人々の表情には、こちらに助けを求めているような苦しいもの、お母さんに背負われて安心している子どものものなどがあり、それぞれの人生が見えてくるような印象を受けました。そして、彼らは絵の中で生きていて、時代を超えて私達に戦争の恐ろしさを伝えてくれていると強く感じました。
九州学習体験旅行から一日校外学習を通して過去の悲惨な出来事を経験した方々が語り継いできたことは、私達を含め現代の人たちの心のなかに残り、彼らの思いはずっとこの世界に生き続けていくのだと考えました。
現代を生きる私達は、それを後世に伝えていかなければならない使命があると強く思います。事後学習では私達ができる後世への発信方法について様々な良い意見が出ました。次世代にこの思いをつないでいきたいです。
(行事副委員長:H)