ウクライナとのオンライン交流に向けて~事前学習その1~
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ウクライナに対して何かできることがないか…これは多くの人々が漠然と思っていることだと思います。本校でもウクライナを支援するためにこれまでいくつかの活動をしてきました。しかし私たちの願いとは裏腹にウクライナの戦火は今も止むことがありません…
私たちに何かできることはないか、そんな思いを持っていたところ、本校がPWU(フィリピン女子大学附属)との交流活動でお世話になっているマニラ在住の鈴木様から連絡を頂きました。鈴木様がマニラでウクライナ大使と会談した際、大使は本校とPWUの交流活動に大変興味を持ってくださったとのこと。そして青少年の交流こそ国際平和にとって重要であり、ぜひ本校とウクライナの青少年をつないで欲しいと頼まれたとのことでした。そこからウクライナと本校とのつながりが生まれ、学校に通えないウクライナの子供たちを地下教室などで支援しているSavED Foundationを通して、2月にオンラインで交流することとなりました。
そのウクライナの青少年たちとの交流の前に、まずはウクライナのこと、そして国際政治について生徒たちは知らなくてはなりません。1月27日火曜日の放課後に、日本経済新聞社編集委員兼解説委員の田中孝幸様をお招きし学習会を開きました。田中様はベストセラーとなった『13歳からの地政学 カイゾクとの地球儀航海』の著者であり、モスクワ、ウィーンに長く駐在され、ウクライナの取材を続けてこられました。

田中様よりまずはウクライナについての現状のお話をいただきました。世界の起伏が分かる実物模型を見せていただきましたが、ウクライナは東ヨーロッパ平原に位置し、起伏が少ない地形であること、そして陸続きの国境が大変長いこと(およそ2000km)が良くわかりました。また、東西をつなぐ重要な場所であり、さらには農業に向いた豊かな土地であることから、ウクライナは侵略され続けてきました。田中様がウクライナの地味のことを「触っただけでもその豊かさが分かる。靴に土が吸い付いてくるような感じ」とおっしゃっていたのが印象に残りました。田中様がウクライナで会った100歳近い方は、人生の中で3回統治者が変わったと言っていたそうです。そしてウクライナ戦争が他の戦争とは全面的に違うという異常性(ロシアがウクライナを全否定)、さらには独裁者がなぜ戦争をはじめ、そして戦争を止めることができないのかについてお話をいただきました。本校生徒から「アメリカがベネズエラの大統領を拘束したこと」について質問が上がりましたが、田中様は「トランプ大統領はアメリカの中間選挙しか見えていない。それに負ければ彼の人生は惨憺たるものとなる」と回答くださり、国際的なリーダーと言われる方々の立場や考え方について教えてくださいました。
その後、ウクライナのキーウ在住のジャーナリストであるイローナ・マケドン様からオンラインでお話を伺いました。つい先日、イローナ様の住むアパートの500m先で爆撃があったとのこと。田中様によるとドローンによる攻撃が引き続き起きているとのことでした。その爆撃のあった場所を画面に映していただきましたが、今までは他人事であったウクライナの問題が自分事に感じられた瞬間でした。また、オンラインでイローナ様とつながるつい15分前に停電があり、イローナ様のアパートもヒーターがまだ止まっていました。マイナス20℃になるような極寒の中、電気が止まることの恐怖を感じました。もちろんイローナ様も自宅に大型バッテリーを持っており、有事の際はそれで対応しているとのこと。そのイローナ様の有事グッズの中に日本のLEDライトがありました。その小さなライトはマグネットになっており、どこにでも置くことができるので大変使いやすいとのことでした。こんなところで日本がウクライナに貢献していることを知り、嬉しくなりました。「ウクライナの日常生活、スーパーなどの食材などはどうなっているのか」という質問に対しては、すでにウクライナのスーパーや雑貨店は大型のバッテリーを備えているので停電になっても対応ができており、食材のほうも普通に手に入るとのことでした。ウクライナ国内の移動についての質問については、やはり北部・東部が問題になっているようで、ロシアとウクライナが占有している地域や前線にはいくことができないとお答えいただきました。「sharing」とおっしゃっていましたが、国土をsharingしているという事実に改めて驚愕しました。短い時間でしたがイローナ様のお話、そしてウクライナの風景、日常からウクライナの置かれている現状を痛感しました。

生徒の感想「今回の講義を通して、ウクライナ情勢など、世界で起きている問題を地政学的な観点から見つめることができました。また、実際にウクライナに住んでいる方とつないでお話を聞くことができ、ニュースだけでは分からない、現地で生きる方々の生活を知る貴重な機会となりました。世界で起きる出来事は、過去と完全に同じように再現されることはないため、明確な正解を導き出すのが難しいと感じました。だからこそ、国の位置や周辺国との関係、歴史的背景を踏まえて解決に向けて考えることが大切だと思います。」
今回の学習会はウクライナのことはもちろん、国際平和とは何か、国際政治とは何か、正義とは何か、様々なことに思いを巡らせる時間となりました。講師を引き受けてくださいました田中孝幸様、そして現地のイローナ様に感謝申し上げます。次回は2月10日火曜日に田中孝幸様より2回目のお話を伺います。(国際交流係 山口)