学園ブログ

『原爆の図』との出会い 高等部2年生一日校外学習

緊急事態宣言が延長となり、埼玉県東松山市の丸木美術館に出向く一日校外学習を、校内で実施した。

高等部2年生の一日校外学習は、丸木美術館学芸員の岡村幸宣さんに、作品解説とZOOMによる講演をしていただいた。特に印象に残った作品は、『原爆の図 第4部 虹』だ。一般的には虹と聞くと、雨上がりの空にかかる美しく希望に満ちたものを思い浮かべるだろう。しかし、この作品に描かれた虹はちがう。原爆投下後の広島には黒い雨が降り注ぎ、その暗黒の空にかかった虹なのだ。この虹を眺めた人々は一体何を感じたのだろうか。また、その群衆の中には手錠をはめられたまま横たわる、捕虜となったアメリカ軍兵士の姿も見える。広島で被爆したのは日本人だけではないのだということを、改めて知ることができた。

丸木夫妻はアメリカでも展覧会を開き、日本の戦争責任について批判を受けた。その批判を受け止め、さらなる作品の制作に力を注いだ。原爆の図は第15部〈長崎〉まであるが、丸木夫妻はそれで作品が完結したとは言っていない。まだ夫妻がご存命であれば、この先も作品を描かれたことだろう。また、原爆の図は、あの日広島で命を落とした多くの人々と、今を生きる私たちをつないでいる。丸木夫妻と支援者の方々、そして学芸員の岡村さんなど、多くの人々によって守り伝えられている原爆の図。これを私たちは未来につないでいかなければならない。9月に訪れる長崎の地で、第15部〈長崎〉に出会い、原爆の恐ろしさと命の大切さについて考えを深めていきたい。

(高等部2年 九州学習体験旅行委員長)