学園ブログ

有明海に学ぶ 高等部2年生LHR

高等部2年生のLHRは、9月に行われる九州学習体験旅行の事前学習として、熊本県立大学副学長の堤裕昭先生に講演をしていただきました。先生は海洋生態学がご専門で、本校では10年以上にわたり、有明海の生態系や諫早湾干拓事業について現地でお話をうかがっています。今年度はオンラインでのご講演でしたが、様々な気づきを得ることができました。

かつて宝の海であった有明海は、防災や農地開拓を目的とした大規模干拓のため堤防で閉ざされ、1990年代後半には赤潮が頻繁に発生するようになりました。有機物の沈殿によりヘドロが形成され、バクテリアがそれらを分解する際に酸素を利用することで海底が貧酸素状態になり、アサリやタイラギ貝などの豊富な干潟の生物が死滅し、有明海の漁業に大変な打撃を与えたことを改めて知ることができました。有明の名物である「のり」は、どの地域のものよりも黒味が強く、味や香りに優れていることで有名ですが、プランクトンの大量発生によって栄養分を奪われ色が抜け落ちている様を見て、諫早湾の生態調査を志したという先生のお話をうかがい、感銘を受けました。未だこの問題は解決に至らず、様々な方が解決に向けて尽力している現状を知り、自分たちにもできることがないかと歯がゆい思いがします。高等部2年生になり、文理の選択をした私たちはそれぞれの教科を懸命に学んでいますが、文理の区分けなく広く学んで得た知識を将来に生かしたいと強く思うとともに、それを有意義なものにできるかどうかは私たち自身にかかっているのだということを強く実感しました。

(高等部2年 学習体験旅行委員)