学園ブログ

知って感じる映画鑑賞会「わたしは,ダニエル・ブレイク」

1月8日の始業式の後,図書委員会主催で映画鑑賞会をしました。

鑑賞したのは「わたしは,ダニエル・ブレイク」(2016,イギリス・フランス・ベルギー,ケン・ローチ監督)です。

自主上映でおこないました。

図書委員の生徒と有志生徒,保護者,教職員をふくめ26人が参加しました。

2016年カンヌ国際映画祭の最高賞パルム・ドールを受賞したこの映画は,貧困や福祉,個人の尊厳,公共とは何か,などいろいろなことを問題提起しています。

実は,この映画を上映・鑑賞することで,上映料の一部が貧困に苦しむ人々を援助する団体の基金となります。

図書委員会,副委員長が司会・進行をしました。

上映後には,ブックリストの紹介もしました。福祉や貧困を考える本・雑誌が世の中にはたくさんあります。

このリストは本校オリジナルです。本校の司書が丁寧に作成してくれました。

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リストには普通の書店や図書館にはおいていないラインナップも。映画館でしか買えないパンフレットもあります。

このリスト中にある『「最前線の映画」を読む Vol.3 それでも映画は「格差」を描く』

(町山智浩,2021, 集英社インターナショナル)には,「わたしは,ダニエル・ブレイク」も紹介されています。

また,本作の次に同監督が撮った「家族を想うとき」(2019年 ,イギリス ・ フランス ・ ベルギー)についてもこの本には掲載されています。「家族を・・・」にはさらに深刻になった世界の現状が描かれています。本作の映画パンフレットももちろんあります。

1本の映画を見ることは,1冊の本を読むことにも値する大切な体験だと思っています。

集中して観た2時間ほどは何物にも代えがたい貴重な経験です。観て感じたことを,今度は人の言葉でたどったり,自分の言葉で綴ったり人に話したりしてみませんか。

映画鑑賞会後に,最近,枝元ほなみさん(料理研究家)が紹介していた「ビッグ・イッシュー」という雑誌の最新号も数人の生徒に紹介しました。この雑誌はホームレスの人の尊厳ある働き方を応援していること,決められた駅で日々売っていることなどを伝えました。

定価450円の雑誌『ビッグイシュー日本版』は,ホームレスである販売者が路上で売ると,230円が彼らの収入になります。くわしくはこちら。https://www.bigissue.jp/about/

写真左端にある猫の表紙の雑誌は,先日私が三軒茶屋駅前で購入した最新号の「ビッグ・イッシュー」です。

この雑誌を初めて知った,という生徒ばかりでした。ある生徒は

「映画にも出てきた,人の「尊厳」が関係ありますね……」とつぶやいていました。

そういえば,これまでにも渋谷駅や新宿駅前で売っている人を見かけたことがある,という声も。

雑誌のことを知るとこれから売っている人を見かけたとき,違った印象で受けとめるはずです。

また、図書館では、「夜のパン屋さん」についての新聞記事も展示中。

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生徒の感想から一部ご紹介します。

・いろんな優しい人々がいて手を取り合っているのに,最後にはダニエルの死(バッドエンド)で終わったのが心に残った。貧困の現状を表しているように思った。

・役所でダニエルが福祉を利用しようと申請していたが,それが原因で思わぬ結果に至ってしまった。その結末を知っても未だに実感がわかない。映画が訴えるものを強く感じた。

 

普段自分自身では選ぶことのない(かもしれない)こういった映画を見ることで,社会の見方が少しでも広がる機会になればと願っています。https://longride.jp/danielblake/

今年もたくさんの本,映画と出会えるように図書館も応援しています。

(図書館 二井)