学園ブログ

視覚の壁を越え、一冊の本を共有すること

 ユニバーサルデザイン絵本とは、目の見える子も見えない子も、一緒に同じ絵本を楽しめる絵本のことです。市販の絵本に点字を打った透明シートを挟みこむ、というアイディアはイギリス発祥のもので、現在、日本でこの絵本を製作、貸出しているのは「ユニバーサル絵本ライブラリー ユニリーフ」だけです。

 

 

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 母がこの絵本の製作、貸出をしている関係で、今年の夏、点字について学ぶ機会があり、一冊の絵本を点訳することに挑戦しました。その時、私に点字の指導をしてくださった方は、大学1年生の全盲の方でした。彼女は大変な読書家で、読書の傾向が私と似ていたため、『守り人』シリーズや『NO.6』、『ハリーポッター』など、様々な本について語り合い、お互いにおすすめの本を紹介しました。その際に、私はユニバーサルデザイン絵本が持つ「力」を実感しました。読書に必要なものは想像力。それは、目の見える人も、見えない人も、同じです。一冊の本について、その面白さを共有すること。これは読書の醍醐味のひとつだと私は考えています。そして、視覚の壁を越え、小さな子どもにもこの楽しさを実感させてくれるのが、このユニバーサルデザイン絵本です。

 私たちの日常の中には、点字を見る機会が沢山あります(学校のトイレの音姫にも点字がありますね!)。しかし、点字の識字率は思いのほか低く、約10%というのが現状だそうです。点訳される絵本が増え、見える、見えないに関わらず、読書の楽しさを皆で共有できたら、点字の識字率も自然とあがっていくかもしれません。また、見える人にとっては、視覚の壁を乗り越え、他者への理解を深めるひとつの契機になることと思います。

 この活動を多くの人に知ってもらうために、図書館のスペースの一部をお借りして、展示させてもらっています。ぜひ、手に取ってご覧ください。(高3図書委員)

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