学園ブログ

先祖になる

 中等部文化講演会では,岩手県陸前高田市で木樵を農業を営んでおられる佐藤直志さんのお話を伺いました。83歳になられる佐藤さんは,2011年3月11日,津波で自宅を流され,消防団員であったご長男を亡くされました。一度は生きる希望を失いかけたと仰る佐藤さんでしたが,自分で山に入って木を伐り,自分の力で家を建て,また米や蕎麦を作って,仲間と共に自分の生活を立て直し始めました。自分たちの作った田畑は,次の時代を生きる人たちの礎となる,その気持ちで一生懸命,楽しく日々を送っているそうです。自分はここに来て,若い皆さんのエネルギーをいっぱいもらって帰ります,と話されたときの自然な笑顔がとても印象的でした。

  製材所の社長である村上さんは,津波で流された陸前高田の松を製材し,ストラップを作られました。その一つ一つに,佐藤さんが「先祖になる」とのメッセージを書いて,生徒全員に下さいました。生徒一人一人が,そのメッセージに込められた思いを感じ取ることができたと思います。

DSCF8802 DSCF8803

 「このような苦境を乗り切ってこられたのは,自分と共に歩んでくれた友達がいたからです,皆さんもどうぞ信頼できるお友達を作って下さい。」人よかれの心は,どんな苦境にあっても人を強くし,人を生かしてくれるものであることを感じさせられた1時間でした。(副教頭・荒川)