学園ブログ

高2HR「ちゃわんやのはなし」上映会

高等部2年生は、今週末から九州学習体験旅行へ出かけます。
旅行のテーマは、環境、平和、国際関係の三つです。水俣での環境、長崎での平和、鹿児島での国際関係について、旅行前の一年間、授業やHRで事前学習をしてきました。

旅行日程の5日目には、沈壽官窯を見学し、沈壽官氏からお話を聞くことになっています。先日のHRでは、映画「ちゃわんやのはなし」を見ました。この映画には薩摩焼の第一人者である第15代沈壽官氏の半生と、日本での400年の歴史が描かれています。この映画のDVDやブルーレイはまだ発売されておらず、貴重な機会をいただいて特別に上映会を実施しました。

映画の中では沈壽官さんが先祖の名を襲名するにあたって様々な葛藤を乗り越えてこられたことや、これからの世代に伝統を繋いでいくことがまとめられており、生徒たちは時折メモを取りながら見ていました。

(高2担任)

 

生徒から沈壽官さんへのメッセージ

・15代と400年以上続く窯が存在していることが日本の誇りだと思いました。
・日本と韓国の間にある歴史を真正面から見つめ芸術や文化を通して「つなぐ」役割を果たしていることにも尊敬の気持ちを抱きました。
・自分にも外国の血が入っていて、沈さんの境遇に共感する点があり、講演会でお話しをお聞きすることを楽しみにしております。
・私は個人的に作中の「過去も未来も分からないが、過去は学ぶことができる。過去はまた巡ってくる。」という言葉がとても心に残っています。高2になって将来のことを考えることが多くなった今、不安なこと、分からないことがたくさんあります。このお言葉が、がんばろうと思える原動力になりました。

・ご自身の差別や葛藤の中でどのように自分を保ち、乗り越えられてきたかというお話には、私自身のこれからの生き方を考えるきっかけになり、勇気をいただきました。
・故郷を離れるだけでも辛いのに、行きついた場所でもっとつらい思いをしていて、それでも日本で伝統を作っていただいたのは日本からすると感謝してもしきれないと思いました。
・沈家の伝統が400年以上も守られてきた理由も見えてきて、そこに関わる全ての人にいろいろな思いがあったのだろうと考えると、改めて本当に素敵な伝統だと感じました。
・作陶という行為が単なる「ものづくり」ではなくて、「生き方」そのものであるということを映画を通して初めて深く理解できたように感じます。
・キムチ甕が韓国の国民にとって必要なものであり、沈家が目指している焼き物が「庶民が庶民のままで」とあるように考え方がつながっていたのが驚きでした。

・人種などの偏見にあった際に司馬遼太郎さんからもらった「トランスネイション」(自分を一個の人類に仕立て上げるという言葉)が印象に残りました。国際化が進んでいる社会で人種にとらわれずに自分自身の中に軸を持って生きていくことが大切だと思いました。
・実の父である14代との関係性も普通の親子としての関係だけでなく14代と15代という師としての尊敬を深めつつも師を超えることを目標として継いでいくことこそに深い意味があるということを知りました。
・強い日本人になるのではなくて、強く日本人になるという言葉がとても印象に残りました。
・「過去から学ぶことができる」という言葉が特に印象に残っています。これからは「過去」を振り返り「未来」に挑戦していきたいと思いました。