学園ブログ

100周年に向けて作品を守っていくために 絵画の修復師さんにインタビュー

創立100周年に向けて、夏休み中に、学内の芸術作品の管理などを行なってきました。その中から書と絵画を2点ずつ修復に出しています。
7月末には、文芸部が書の修復士さんの京都の工房へzoomでインタビューを行い、作品の状態や修復の手順や、今後も作品を大切に守っていくためのアドバイスをお聞きすることもできました。

修復に出している絵画は、普段講堂に飾られている、初代校長 川村理助先生の肖像画(昭和18年)と、初代理事長 西村庄平先生(昭和9年)の肖像画です。修復を担当してくださっているのは吉村絵美留さんという方です。山梨に工房を構え、岡本太郎の「明日の神話」などの著名な作品も手がけているそうです。

2つの作品は、どちらも表面が割れていて、なんと作品完成後に誰かしらかが手を加えた形跡があることが分かりました。恐らく修復の技術がない人の手によって、作品保護のために手を加えたのではないかとのことです。今回の作業は、まずはこの、「後から手が加わった部分」を取り除くことから始められたそうです。

修復に使われる道具は多岐にわたりますが、作業が細かいため、手術に使用されるメスのような道具も使用されています。また、1970年代ごろまでは、表面の洗浄に唾液を使うこともあっったそうです。現代では唾液に含まれる雑菌によるリスクを避けるため、唾液に含まれる一部の成分を利用することが多いとのことでした。驚きました。

絵画修復の技術が日本で広まったのは戦後で、あまり歴史は長くありません。近年、イタリアなどで技術のない人による修復が行われ、原型が分からないほどになってしまった、などのニュースもありました。このような事例は多くあるそうです。
災害の多い日本では、自然災害で被災した地域からの修復依頼が多くあります。特に津波の被害にあった作品は、海水の塩分がキャンバスの麻布の目に入り込んでしまい傷んでしまうため、とても困難なのだそうです。
書や日本画に比べて、油彩で描かれた作品はとても耐久性があるように見えますが、実は布の繊維は収縮による劣化が多くあるため、湿気などには弱いのだそうです。

吉村さんには、なぜ修復士を目指したのか、ということもお聞きしました。お父様が画家で、自らが絵画を志すことも考えたそうですが、自身が理科が好きだったこともあり、化学物質なども利用しながら絵画作品を保護していく活動に携わるようになったそうです。画家が絵を描く際にはデッサン力を求められますが、修復作業には作家の意図を尊重することが大切とされます。ご自身のお名前には「絵を美しく留める」という漢字が3文字使われていますが、その生き方の道しるべとなっているのかもしれません。

作品が学園に戻った後の保管の仕方についてアドバイスも頂きました。
床に直置きをせず、必ずスノコなどで底上げしてほしいとのことです。とにかく湿気を避けることがとても大切なのだと教えていただきました。

学内には、学校の歴史をのちの世代に伝えていくために、守っていきたい作品がたくさんあります。修復士の方々からのお話を多くの人に知ってもらい、今後も大切に保管したいと思います。

(担当 長峰・二井)