中3・高1特別講義をおこないました
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中等部3年生と高等部1年生を対象とした特別講義を行いました。
本校では、生徒が自分の進路について具体的な目標を確立していけるよう支援をしています。
その一助として、中等部3年生と高等部1年生に向けて毎年この時期におこなっているのが本講座で高大連携プログラムでもあります。
大学の先生が複数名来校して、学部・学科における研究内容の一端を教えてくださいました。
生徒たちは、自分が興味をもった学科の講義をそれそれ選んで受講しました。

生徒たちは、中学、高校でうけている普段の学びとは一味も二味も違う「学問」とはどのようなものか少し知ることができたようです。
お招きした19人の先生方のご専門は、さまざまな分野にわたっています。
心理学、異文化コミュニケーション、国際商学、経済学、生物学、社会福祉学、デザイン工学、動物応用科学、都市工学、リプロダクティブヘルス看護学(母性・助産)、理学療法学などです。
異文化コミュニケーションの講座では、東京外国語大学のO先生に来ていただきました。
東京外国語大学では、英語、ドイツ語、フランス語などのほか、ラオス、ミャンマー、ウズベキスタン、また、アフリカの言語の大小を合わせると70か国語もの言語を勉強できるそうです。また言語だけでなく、異文化コミュニケーションも学ぶことができます。
今日は様々なコミュニケーションの奥深さを習いました。
最初に、「もし自分が留学していたとして、外国に行ったばかりの時の感情と、もうすぐ帰るときの感情はどう違うと思うか」という質問が生徒に投げかけられました。「うれしいかも」、「まだいたいからさみしいかな」などあれこれ話す生徒たち。
これは縦軸に感情をおき、横軸に時間をおいて比べたグラフにより表されて、「異文化適応のモデル」を考えさせるものでした。
カルチャーショックは病気ではなく、心理学的な不安が原因だそうです。

また、「動物占い」や「今日の占いカウントダウン」、「血液型占い」も紹介されました。これらはステレオタイプの例で異文化コミュニケーションを妨げるものだということです。血液で性格の差があるなどは実際には何の根拠もないのだそうですが、日本では信じている人が多いといいます。『A型の人の扱い方』のような本も売られているくらいです。
ですが、ヨーロッパでは自分の血液型すら知らない人も多いそうです。また、過去の反応や経験から得た情報をもとに新しく入ってくるものをみてしまう、「スキーマ」という考え方も知りました。

非言語コミュニケーションの紹介をする際には、なんと先生が自ら生ギターの演奏をしてくださいました。(あいみょんの曲をしっとりと弾き語りしてくださいました。)このように弾き語りするときも、演奏しながら聴衆の顔を見たり、アイコンタクトをしたりすると聞く人にもじんと伝わってくるものがあります。もし、O先生が、無表情で下を向いたままギターを弾き語りをしていたとしたら、聞いている人に伝わってくるものは全くありません。それを皮切りに、ハイコンテキスト、ローコンテキストの違いも話されました。

コンテキストとは、空気とも言い換えられ、「察しをする」ということです。国、文化、民族によって全く違います。
また、キティちゃんにはどうして口が描かれていないのか、ミッフィーにはなぜ口が描かれてないのか、も話題に上がりました。
それは見る人にどんな表情なのかという答えがゆだねられているから、ということでした。
悲しい気持ちの人がキティを見たらその人には悲しい顔に見えるし、うれしい時にみたら同じキティであっても、楽しい顔に見える、ということです。絵に口が描かれていないことにより、聞く人や見る人、感じる人が自分の気持ちを自由に投影できるという利点があるそうです。
非言語によるコミュニケーションには、ほかにもさまざまあります。
具体的には、①表情 ②ジェスチャー ③アイコンタクト ④接触 ⑤対人距離と空間 ⑥時間の概念 ⑦沈黙 (会話における順番のとり方、間のとり方)です。
会話において、表情や多彩なジェスチャーがないとコミュニケーションはスムーズにならない、ということも強く印象に残りました。
きずな、は絆とかきます。「人は別の人に合う時に、自分が半分何かを失っている。それは自由を失っていることに通じる。異文化理解は、相手も不自由、自分も不自由。自由を半分失っている状態。でも、お互いが半分不自由になって初めて分かり合えることがある。
最初は苦しいけれど、相手との関係に苦しんでいるときがきずなだ」とO先生は言われました。
絆の意味と漢字の成り立ちにもうなずく生徒たち。
本校にはいろいろな海外留学プログラムもあります。今後日本の外に出たときに、今日の講座を思い出す人が多くいることでしょう。
また、11月半ばからは外大ほか多くの大学の学園祭があるとのこと。外大では30か国語以上の食べ物の出店が出たり、いろんな国の言葉でおこなう演劇もあったりするそうです。(字幕ももちろんついているそうです)実際に訪れて、大学の雰囲気を感じてみるのもよいですね。
このように、様々な講座をきっかけにして、人が生きるとは? 文化とはなにか? など学問の入口を知ると、研究とはなんと奥が深いものかとわかってきて興味がつきません。
生徒は、さまざまなジャンルの「学問」の一端を知り、今後の学びにますます意欲を持ったようでした。図書館では今日きていただいた先生方の著書も貸出をしています。
(担当 二井)