学園ブログ

中3・高1特別講義 学びの広がりを体験!

5時間目のHRの時間に、中3、高1を対象に、特別講義を実施しました。進路選択の指針として、また学びの広がりの体験として、10年以上にわたり実施してきたプログラムです。今年は、21の大学から先生方をお迎えしました。

文系分野では、教育哲学をテーマに田園調布学園大学の先生が分かりやすくお話しされました。人間の理解や「わかる」とは一体何なのか、をプラトンやソクラテスの問いをもとに解説してくださいました。そして、イタリアにあるアンテロス美術館での「触る絵」の実践をビデオで紹介いただきました。北斎の「神奈川沖浪裏」の触る絵を、ガイドが先生の手を持って説明してくれたこと、そうすると大きな波のカーブや一つ一つの波しぶきが、目でだけ見ていた時とは違って、触ることで初めてぞっとするくらい感じられて驚いたことなどを教えてくださいました。また、イタリアでは障害のある子もない子も一緒に学ぶ共生の教育が主流であること、日本もこれからそうなってほしいことなどを伝えられると、生徒たちも頷いていました。触るイタリアの地図模型や、触る絵本も持ってきていただいたので、「わかる」ための感覚の重要性についてじかに知ることができた貴重な時間でした。(担当 二井)

理系分野では昨年に続き、ヘッドホン・イヤホンの聴き比べ体験で和気藹々の音響工学、真剣な表情で液体窒素に保存された試料を顕微鏡に移し観察する動物応用化学、デジカメ開発の最先端技術を学んだあとで各自持参したカメラを使い撮影を試みる応用物理学などの体験型の講座に多くの生徒が参加しました。また、今年新しく開講された講座では、エネルギー問題に関する東京工業大学の先生の環境工学の講義、酵素についての東京農業大学の先生の生命科学の講義と実験、来年度新しく開設される横浜市立大学のデータサイエンス学部の先生からデータサイエンスの未来についての講義に生徒たちは真剣に聴き入りました。

東京農業大学の先生は、昔の大学では研究者である教授が興味のあることだけを熱意をもって話し続け、講義で触れられなかったことは学生が自分で勉強しておくということがよくあったと述懐しつつ、「逸れた話のほうが面白いものだけど、今はそういう時代ではないから教科書で一通りのことを教わるようになってきた。」とおっしゃいました。「そのほうが効率よく必要なことを漏らさず学べる」と言いながら、乳酸菌、酵素、食品などのキーワードに触れるたびにイメージが膨らみ話したいことが溢れてきてしまう先生に、生徒たちは変わらぬ研究者の顔を垣間見たでしょうか。

横浜市立大学の先生は、膨大なデータが集められる現代においてしばしばその解析は論理性を欠き間違った結論を招いていることを例示し、「データをどう使いどう考えるかを担うデータサイエンティストが不足している。米国ではデータサイエンスの分野には女性が多く、スキルを身につけることで社会に活躍の場が広がる。」とお話しくださいました。

異なる分野の先生方がそれぞれの言葉で、視野を広く持ち、なんにでも興味を持つようにと生徒を励ましてくださっていたのが印象的でした。(担当 田中)