学園ブログ

銭湯と14歳

「銭湯では僕が一番後輩です」。

こんな言葉を始まりに、国語科の上野教諭が【14】(イチヨン)の1冊、『キャプテンマークと銭湯と』(佐藤いつ子著 、KADOKAWA)を紹介しました。

【14】とは、中等部2年生が1年間かけて取り組む読書リストです。今週から【14】冊子が配付され、生徒がぞくぞくと本をかりにきています。リストの本は、国語科教員と図書館職員により「14歳の今生徒たちに読んでほしい本」として30冊を選んでいます。毎年、担当の教員によって、リストの内容が変化していくのも魅力の一つです。今年度、新たに加わったのは『キャプテンマークと銭湯と』,『奇跡の教室』(伊藤 氏貴著、小学館)、『電池が切れるまで』(宮本 雅史著、KADOKAWA)の3冊。どの本にも上野教諭の思い入れが詰まっています。本のラインナップもそうですが,それとともに【14】冊子の前文の言葉も変わりました。

「はじめに」には、上野教諭のメッセージが次のように書かれています。

「スマートフォンも携帯電話も持っていなかった14歳の頃の僕の楽しみの一つと言えば、父の部屋の本棚を眺めることでした。『深夜特急』という本が全巻並べられ、幼いながらに「読みたい」と父に言ったことを覚えています。「まだ早い」と言われ手渡されたのは、夏目漱石の『三四郎』という本でした。「その本もまだ早かったよ」と言いたいですが、主人公「小川三四郎」と同じように九州から上京して東京で働いている今を思えば、「迷いなく生きなさいよ」というメッセージがこめられていたのかもしれません。

ここには色んな人の思いを背負った「本」が並べられています。まずは1冊から手に取ってみてください。人生のどこかできっと、その本の中の言葉に背中を押される日が来ると思いますよ。」

冊子の本はどこから読み始めても構いません。自分のペースでそれぞれ取り組みます。生徒は本を読むと、ひとこと感想カードを書きます。そして本の表紙シールをもらって各々の冊子に貼っていきます。カードは図書館のパネルボードに掲示します。誰か他の人が書いたカードを読んで、次に自分が読む本を決める生徒もいます。生徒同士が互いに紹介文を披露するしかけにもなっているのです。

これは読み終えたある生徒のひとこと感想です。

実は、【14】の本には裏テーマがあります。それは「古典」に親しんでもらうこと。『枕草子』や『徒然草』『伊勢物語』などには、イラストや挿絵の多い本、学習漫画など読みやすい本を組み込んでいます。14歳のこの時期から、古典にじんわりと、しかも楽しみながら触れさせておこうという、教員たちの作戦です。

 

地味だけれどいい本。書棚に並んでいるだけでは、なかなか手に取られない本が【14】にはあります。

これから先パネルボードにどんな生徒の感想がならぶのか、とても楽しみです。

今日の貸出が終わった後、棚はほとんど空っぽになってしまいました。(明日のクラスのための貸出用はきちんと別の所に確保してあるのでご安心を!)

【14】の読書リストは以下のURLからもご覧になれます。

http://www.lib-finder.net/chofugakuen/booklist_books?theme_id=90

また、紙媒体も校内見学の方々にも準備しています。ご興味のある方はぜひカウンターでお声がけください。

(司書 松井)