学園ブログ

学校長の式辞

今年度末の終業式の式辞は、西村弘子校長により各教室への放送で行われました。みな耳を傾け、それぞれの思いを胸に年度を締めくくりました。

以下は、それぞれ中等部・高等部の式辞です。

令和元年度後期中等部終業式

おはようございます。3週間ぶりの登校で、学校は息を吹き返しています。お友達とも会えて、不安や緊張の中でも心弾むことでしょう。登校して手は洗いましたか?見えないウィルスとの戦いの中でクラス単位での修了式です。皆さんの様子を想像しながら声だけ送ります。

今、1年間を振り返ってみれば、2学年それぞれの学習や活動への取り組みに自信が湧いたり、甘かったと反省したり、それぞれの思いがあることでしょう。そこで、学業についてクラブ活動について1年前の自分と比べてみましょう。どうですか?できるようになったことを数え上げることができますか?皆勤賞も1年生60人、2年生54人と聞きました。保護者の方にも感謝ですね。成長の実感は「自分の行動に責任を持つ」「続ける」という強い心や「周りの人のことを気に留める」という思いやりの心によるところが大きいと感じませんか?一方で春・秋の暑さ、大雨、台風といった気象状況の激しさに学校生活も行事も計画通りにいかなかったことが思い出されます。その中で、なんといってもこの度の臨時休校は誰にとっても初めての大変な経験となりました。しかも新型コロナウィルス感染症は世界各国に広がっていて、いつ収まるのか予測がつかない状況で、不安も募ります。あなたはどんな過ごし方をしてきましたか?そして、ウィルス対応・学習計画・情報交換の方法・ネットやICTの活かし方、など、感じたこと考えたことも多いのではないでしょうか。こんな時しかできないこと、こんな時だからこそ気が付いたことがあったでしょうか。この経験をこれからに活かしていきたいですね。

10年前、皆さんの幼い頃に、新型インフルエンザが若い世代を中心に世界中に広がって、行事の中止や延期を余儀なくされたことがありました。私はその時から特に習慣にしていることがあります。手洗いです。学校のトイレに貼ってあるポスターのような正しい洗い方をしたところ、洗った後の手触りが全く違っていて、それまでの手洗いは何だったのかと衝撃を受けたのです。それからは続けてきたつもりですが、今回また新たな気持ちで徹底しています。

この機会に、習慣を確かめていきましょう。学習にしても、到達目標を目指して計画を立て、実行し、計画を修正もして、努力を続けましょう。学習面の自立のチャンスです。読書や家事など普段あまりしないことにも取り組んでみましたか。また、生活を工夫するヒントはその気になれば色々得ることができます。通常の学校生活ができるようになるまでにはなお時間がかかりそうですから、少しでも達成感がある生活をしてください。

礼法のテキストの最後に「如是集」のページがあります。覚えていますか?そこに川村理助先生が遺された「運命に従順なれ」という精進の教えがあります。「運命」を私は自分の力ではどうしようもない現実の課題、あるいは予測できない大変なことと解釈しているのですが、「運命に従順なれとはわが身を運命の前に投げ出して、その翻弄に任せよという意味ではない。いかなる運命がこようとも怨まず呪わず不平なく、その場その場に適応する精進を実行することである。その時、我々は完全に運命に打ち勝つことができる。」とあります。「当面の目標を見つめ精進すべし。」規則正しい生活をして免疫力を強めるとともに、新たな学習習慣と生活習慣を身につけて、次の学年の目標を確かめて胸を張って新年度を迎えましょう。以上式辞といたします。

 

令和元年度後期高等部終業式

おはようございます。3週間ぶりの登校ですね。多くの仲間と直にかかわりあえてこその高校生活だと実感していることでしょう。学校が息づいています。登校して手を洗いましたか?換気をしていますか?見えないウィルスとの戦いの中でのクラス単位の修了式です。皆さんの様子を想像しながら声だけ送ります。

今年度は春・秋の暑さ、大雨・台風など、気象状況の激しさによって、学校生活も行事も計画通りにいかないことがありました。加えて、この度の臨時休校は誰にとっても初めての大変な経験です。期末考査がなくなり、式にも行事にもクラブにも補習にも影響が出ました。準備や計画が突然断ち切られる、今までが当たり前ではない。と気が付いて、ここから、私たちは何を得ていくかを突き付けられているようにさえ感じます。

休校中あなたはどのように過ごしましたか?新型コロナウィルス感染症は世界各国に広がっていて、いつ収まるのか予測がつかない、この状態がいつまで続くのかという不安と緊張の中で、自分の計画に沿って緩急織り交ぜた生活ができるようになりましたか?手洗いを十分にする。食事・睡眠・活動のバランスの取れた規則正しい生活をするなど、日ごろはさほど意識していなかったかもしれないけれど、自己免疫力を高めて自分の健康を守ることが傍も守ることにつながる。となれば、社会的な責任でもあるわけです。その上で、学習もまた自立を求められます。それまでのように否応なく授業が始まるわけはなく、ICT機器の活用もしながら、自分で学習を始めなくてはならない、疑問点はまず自分で解決しなくてはならない、関わりあう、反応しあう、協同したり競争したり、という集団だからこその刺激がない。となれば、強い心を鍛えて自立せざるを得ません。

ピンチはチャンスととらえられるかもしれません。そう考えるとき、昨年の、1日に凝縮したなでしこ祭を思います。あの経験を生かして、2年生から1年生に引き継がれたことが、創り出す過程から一人一人が主役になれて来場者の心を動かす新たななでしこ祭づくりです。残念な悔いを冷静に総括した2年生の役員や委員は、企画や準備の段階から本番まで様々な場面のどこかに全員がかかわっていけないだろうか、と提案しました。体験からの気づきを活かそうと真剣になるからこその生徒総会での呼びかけでした。それを1年生が引き継いで、新たなクラス企画に新しい発想を求めて、すでにアンケートも進めているのですね。休校中も連絡を取り合ってできることを続けているということですから、焦らずに過程を丁寧にたどって皆さんたち2学年あってこその結実を見るように楽しみにしています。この閉塞状況を打ち破るのは皆さんの行動にかかっています。

川村理助先生は「運命に従順なれ」という精進の教えを遺されています。礼法で読んだ「如是集」を覚えていますか?「運命」を私は自分の力ではどうしようもない現実の課題、あるいは予測できない大変なことと説明しましたが、「運命に従順なれとはわが身を運命の前に投げ出して、その翻弄に任せよという意味ではない。いかなる運命がこようとも怨まず呪わず不平なく、その場その場に適応する精進を実行することである。その時、我々は完全に運命に打ち勝つことができる。」という教えです。私たちのよりどころはここにあります。通常の生活ができるようになるまではなお時間がかかりそうです。「当面の目標を見つめ懸命に精進すべし。」生活姿勢に自信を持ち目標を確かめて胸を張って新年度を迎えましょう。以上式辞といたします。