学園ブログ

~第五福竜丸は航海中~ 学芸員市田真理さん講演会

12月4日LHRでは、高等部1・2年生を対象にビキニ事件被爆65年の講演会を行いました。ご講演いただいたのは都立第五福竜丸展示館学芸員の市田真理さんです。この講演会は高等部1年学習体験旅行の事前・事後学習の一環として催しています。高等部1年学習体験旅行では九州を訪れ、長崎では被爆者の方のお話を伺っています。高等部2年生は事後学習として、高等部1年生は3月に向けた事前学習として臨みました。

講演会は生徒・保護者を対象としており、1998年から二年に一度お願いしてきました。前回までは第五福竜丸の船員で、20歳の時に被爆した大石又七さん(現在85歳)にご講演いただいていましたが、体調を崩されており、市田さんにご講演いただく運びとなりました。

アメリカが水爆実験をおこなったビキニ環礁は、2010年にユネスコ世界文化遺産に登録されました。飛行機をチャーターしなければ行くことができないこの場所は、人もおらず、そこにあるヤシの実も食べることができません。静岡県焼津港所属の第五福竜丸は、このビキニ環礁の東方約160kmの海域で1954年3月1日に被爆しました。白い「死の灰」が降り注ぎましたが、船員はそれが危険なものだとは知りませんでした。知っていればよけられたはずです。大石さんはこの経験から、学ぶことの意味、生きる力を見につけることの大切さを強く伝えています。

現在、大石さんたちの乗った第五福竜丸は、物言わぬ証言者として江東区夢の島の都立第五福竜丸展示館にあります。キャッチフレーズは「核のない未来に向かって航海中」。冷戦による核開発競争がもたらした悲劇を忘れずに、学び、伝えていく事が若い世代にも大切なことでしょう。

(高等部2年担任 広瀬)